部屋を借りるときに確かめること|初期費用と原状回復

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調べた日:2026年10月4日(制度やサービスの情報は、この日に公式サイトで確かめました)

はじめて部屋を借りるときは、家賃のほかに、敷金や礼金、仲介手数料など、契約のときに払うお金があります。そして部屋を出るときには、「原状回復」の費用をめぐって話がこじれることがあります。

国民生活センターによると、賃貸住宅の原状回復トラブルの相談は、2025年度に14,711件ありました。この記事では、国土交通省のガイドラインと民法をもとに、部屋さがしから退去まで、時間の順に確かめたいことをまとめました。

※この記事は、国や自治体の公式情報をもとに、手続きの順番を整理したものです。決まりや条件は変わることがあるので、最新の情報は記事の最後にある公式ページで確かめてください。

流れ

  1. 部屋をさがすときに:初期費用の中身を知る
  2. 契約の前に:重要事項説明と契約書を読む
  3. 入居の日に:部屋の様子を記録する
  4. 住んでいる間に:こわれたら早めに連絡
  5. 退去のときに:原状回復と敷金

部屋をさがすときに:初期費用の中身を知る

契約のときに払うお金のうち、よく見る3つの意味を、法律や国の資料で確かめておきましょう。

お金 どんなお金か あとで戻るか
敷金 家賃の払い残しなど、借りる人が貸主に払うべきお金の担保として預けるお金。「保証金」など別の名前でも、この性質なら敷金にあたる 部屋を返したあと、払い残しなどを差し引いた残りが返される(民法第622条の2)
礼金 契約のときに貸主に払うお金 契約が終わっても返されないお金の例として、国土交通省の資料に挙げられている
仲介手数料 部屋を紹介した不動産会社が受け取る報酬 上限が決まっている(下で説明)

仲介手数料には、国が決めた上限があります。住まいの部屋の場合、不動産会社が借りる人から受け取れるのは、仲介を頼まれるときに承諾を得ている場合を除き、家賃の1か月分の0.55倍までです。貸主と借りる人から受け取る合計も、原則として家賃の1か月分の1.1倍までです(国土交通省)。

初期費用が少なく見える部屋でも、退去のときの決まりはあわせて確かめましょう。国民生活センターには、敷金・礼金が0円の部屋で、退去するときは壁紙や床の張り替え代を全額請求するという特約が契約書にあった、という相談も寄せられています。

契約の前に:重要事項説明と契約書を読む

不動産会社が仲介するときは、契約の前に「重要事項説明」があります。契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士という資格を持つ人が、大事なことを書いた書面を渡して説明することが、法律で決まっています(宅地建物取引業法第35条)。

契約のときには、重要事項説明書や賃貸借契約書などの書類を受け取ります。契約したあとで不利な条件に気づいても、変えてもらうのは難しいことが多いので、契約の前に読んでおきましょう(国民生活センター)。国民生活センターが示している契約書のチェックポイントをもとに、見ておきたいところを並べました。

  • 部屋の名前や場所、設備(ネット回線やガスの種類など)が、説明や内見のときと同じか
  • 契約期間と、更新のしかた
  • 家賃・共益費・敷金の金額と、支払い方
  • 貸主や管理会社の連絡先が書いてあるか
  • 禁止されていること(ペットの飼育など)
  • 修理についての決まり
  • 退去を知らせる期限と、違約金
  • 原状回復で、貸主と借主がそれぞれ負担するもの
  • 特約(ハウスクリーニング代の入居時の先払い、敷金を返さない、決まった保険への加入など)

借りる人に不利な特約が、いつでも有効になるわけではありません。国土交通省のガイドラインは、原状回復で借りる人に特別な負担をさせる特約には、次の3つが必要だとしています。

  • 特約が必要な理由があり、暴利的でないなど、客観的で合理的な理由があること
  • 借りる人が、ふつうの原状回復をこえる負担になると分かっていること
  • 借りる人が、その負担を引き受けると意思を示していること

分からない特約は、サインする前にその場で質問しましょう。

入居の日に:部屋の様子を記録する

退去のときのトラブルは、キズや汚れが入居の前からあったのか、住んでいる間にできたのかが、はっきりしないことが大きな原因の一つです。国土交通省のガイドラインのQ&Aは、退去のときだけでなく入居のときにも、貸主と借りる人が立ち会って部屋を確かめ、チェックリストを作っておくことが大切だとしています。

できるだけ貸主側といっしょに、写真を撮ったりメモを取ったりして、気になるキズや汚れを記録に残しましょう。エアコンなど備え付けの設備がきちんと動くかも、入居のときに確かめておきます(国民生活センター)。

住んでいる間に:こわれたら早めに連絡

部屋を使うために必要な修理は、原則として貸主がする義務があります(民法第606条)。一方で、修理が必要になったときは、借りている人が遅れずに貸主へ知らせることになっています(民法第615条)。

国土交通省のガイドラインのQ&Aでは、水もれを貸主に知らせなかったために下の部屋まで被害が広がったような場合、損害賠償を求められる可能性もあると説明しています。また、貸主に無断で修理をすると、退去のときにもめることがあります(国民生活センター)。給湯器やエアコンの故障、雨もりや水もれに気づいたら、すぐに管理会社や大家さんへ連絡しましょう。

退去のときに:原状回復と敷金

原状回復は、借りたときの状態にすっかり戻すことではありません。国土交通省のガイドラインは、借りた人の不注意や、ふつうの使い方をこえる使い方でできた傷みを直すことだとしています。年月がたって古くなった分や、ふつうに暮らしていてできる傷みの修理代は、家賃に含まれているという考え方です。2020年4月1日に施行された改正民法でも、ふつうの使い方による傷みと古くなった分は、借りた人が直す義務から除かれています(民法第621条)。

ガイドラインには、どちらの負担になるかの例が示されています。一部を表にしました。

貸主が負担する例 借りる人が負担する例
家具を置いてできた床やカーペットのへこみ 引っ越し作業でついたひっかきキズ
画びょうやピンの穴(下地の板の張り替えがいらない程度) 天井に自分で直接つけた照明器具の跡
日光などによる壁紙の変色 たばこのヤニやにおい
テレビや冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみ(電気ヤケ) 結露をそのままにして広がったカビやシミ
鍵の取り替え(なくしたり壊したりしていない場合) 鍵をなくしたり壊したりしたときの取り替え

借りる人が負担する場合でも、建物や設備の経過年数を考えて、年数が多いほど負担の割合を減らす考え方がとられています(国土交通省)。

敷金は、部屋を返したあと、家賃の払い残しなどを差し引いた残りが返されます(民法第622条の2)。契約で別の時期を決めていなければ、返すよう求められるのは部屋を明け渡したあとです。差し引かれた原状回復の費用は、明細を求めて説明してもらうことができます(国土交通省のQ&A)。

退去の立会いで書類にサインを求められたときも、疑問があれば質問し、よく確かめてからにしましょう。話し合ってもまとまらないときは、消費者ホットライン「188」で近くの消費生活センターに相談できます。相談のしかたは「新生活で気をつけたい契約のトラブル|相談先は188」で説明しています。

おさらい

国土交通省は、入居と退去のときに部屋の様子をよく確かめることと、契約の前に原状回復などの条件を確かめて納得してから契約することが、トラブルを防ぐのに役立つとしています。

  • 初期費用は、敷金(差し引いて返る)・礼金(返らない)・仲介手数料(上限がある)のちがいを知っておく
  • 重要事項説明書と契約書は、サインする前に特約まで読む
  • 入居の日に、キズや汚れ、設備の動きを写真やメモで残す
  • こわれたら、自分で直さずに早めに連絡する
  • 退去のときは、ガイドラインの考え方をもとに、明細を見て話し合う

この記事の出典(2026年10月4日確認)